蒼穹‐sora‐
『ピーッと言う発信音の後にお名前とご用件を…』
お決まりのアナウンスの後。
『あ、えっと…』
聞き覚えのある女性の声が続く。
『明純です。すいません、突然お電話しちゃって。あの……ご迷惑じゃなければ、このまま聞いててもらえますか?』
控え目な彼女らしい留守電メッセージだ。
僕は、このまま彼女が残した留守電を聞く事にした。
『ありがとうございます。やっぱり、本当の事を言おうって、思ってて…。昨日からずっと悩んでたんですけど、言った方がいいかなって』
どれだけ、こんな感じの言葉を聞いたろう。
そろそろ、僕もイライラしてきた頃。
彼女の口から、信じられない言葉が飛び出した。
『あの時、死んだのは、あなたの知ってる花純ではありません』
え?
僕の知ってる、花純じゃない……?