蒼穹‐sora‐
《ねぇ、あのマンションの屋上に行ってみない?》
デートも終盤に差し掛かった頃、花純がおかしなことを言う。
《え、は? なんで?》
《なんか高いところからの景色が見たくなっちゃって。
でもそういう展望台とかじゃなくて、ああいう普通のマンションからの景色もいっかなーって》
花純が頬を掻きながら微笑む。
それが可愛かったけど、同時に儚かったことを覚えている。
《そっか、じゃ、行くか!》
……馬鹿か、僕。
スクリーンを見ながら思う。
あの時の僕はホントに馬鹿だった。
花純の発言、あからさまにおかしいだろ。
なんで納得して屋上に行くんだよ……。
行くな、逝くな……。
スクリーンから目を背ける。
もう見てられない。
心が痛い。
花純っ……。
デートも終盤に差し掛かった頃、花純がおかしなことを言う。
《え、は? なんで?》
《なんか高いところからの景色が見たくなっちゃって。
でもそういう展望台とかじゃなくて、ああいう普通のマンションからの景色もいっかなーって》
花純が頬を掻きながら微笑む。
それが可愛かったけど、同時に儚かったことを覚えている。
《そっか、じゃ、行くか!》
……馬鹿か、僕。
スクリーンを見ながら思う。
あの時の僕はホントに馬鹿だった。
花純の発言、あからさまにおかしいだろ。
なんで納得して屋上に行くんだよ……。
行くな、逝くな……。
スクリーンから目を背ける。
もう見てられない。
心が痛い。
花純っ……。