蒼穹‐sora‐
叫んだ。


はずだった。



≪よーし、じゃ、競争しよっか!!≫



あの日の馬鹿は、彼女にそう笑いかけた。



何でだ、何でこの映画は終わらないんだ。



クソッ…!!



≪ふふっ、うん!≫



彼女の笑顔に、哀しみの色が射した。



何で、気付かない!




「止めろ!!止めろよ!!…」



≪はぁっ、はぁっ…!!っ、純斗、くん…はやっ…!≫



≪ほらっ!早くっ…!!はぁっ、はぁ≫



駆け上がる、駆けあがる、かけあがる、カケアガル。




屋上へ続く階段の先に、ドアが見えた。




≪つい、たぁ……≫



呼吸を整え、もう少しで階段を上り終わる彼女を待つ、僕。


止めろ…やめてくれ…!!



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