蒼穹‐sora‐
《もぅ……、純斗くん速いなぁ……》



花純も屋上へ続く階段に着いて、息切れしながらそう言った。



《へへっ、行こうぜ》




まだ息が切れながらも、花純に手を差し出す。



《うんっ!》




花純は手を繋いでくれて、一緒に屋上のドアへ行きドアを開けた。




《あ、雨降ってる》



《うっそ、ホントに?》





俺がドアを開けたら、雨が降っていた。




ーーここで、引き戻せば良かったんだ。





もう俺は、スクリーンを見ながら項垂れていた。




ここまで来たら、もう無理だと。




このスクリーンはきっと、あの日の出来事を映すだろう。




もう、思い出したくないんだよ……っ。










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