蒼穹‐sora‐
「最低だね」



スッとさっきまでの表情が明純さんから消え、どこかでみた事のある瞳に変わった。



「か、…すみ…?」



「覚えててくれたんだね、純斗くん」




紛れもなく、花純だった。




「忘れてたならそれまでだなーって思ってたんだけど。……まぁ、忘れられないもんね」




あんな死に方したんだし、と笑う。




「ああ。でも、実際死んだのは、純斗くんの方だよ。本当に」




「ウソ……だ」




「いいえ。ウソじゃないわ。確かにあの時、私はあそこから飛び降りたし、貴方もそこから飛び降りた。…私の為に」



哀しく微笑む。




「ごめんね…」



涙声になり始めた彼女を、僕はただ見つめる事しか出来なくて。無力な自分に吐き気がする。



「確かめたかったの……。純斗くんの………、私への気持ち、を……」



消え入る声は、とうとう嗚咽に変わった。
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