蒼穹‐sora‐
「兄弟はいるの?」
出会って間もない頃だったろうか。
僕からそう聞いた。
「ううん。いないよ。……いまは」
「今は?」
「うん。わたしが小っちゃい頃、妹がいたんだけど死んじゃったんだ。…病気で」
「そう…なんだ…」
何となく気まずい雰囲気を、花純の方から断ち切った。
「もう!そんな暗い顔しないでよ!ごめんね?変な雰囲気にして。そういう純斗くんはどうなの?」
「僕?僕も、一人っ子だよって、言いたいけど、死ぬほどウザい姉貴が2人いるんだよな~」
「へぇ!お姉さんいるんだ!…いつかわたしも、そのお姉さんを、『お義姉(ねえ)ちゃん』って言える日が来るかなぁ…」
照れながら天井を見つめる彼女の横顔を、僕はあっけにとられて見つめる事しか出来なかった。
そんな事を、思い出した。