蒼穹‐sora‐
「え?」
「花純!!花純だろ?!なぁ!!」
前からやって来た彼女の肩を掴んで、前後に激しく揺さぶる。
「ちょっ、ちょっと!!誰ですか、あなた!!」
「え?」
「やめっ・・・!止めてください!!」
「あっ・・・」
パシッと手を払いのけられ、彼女は僕の事を怯えた瞳で見つめた。
そうだ。人違いに決まってる。
だって、彼女はもう・・・。もう・・・。
「す、すいません・・・」
「いえ・・・」
こんな街のど真ん中で、僕は何変態気質なことやってるんだろう。
通りすがる人の目が、痛いくらいに僕に突き刺さる。
「ほんと・・・。ごめんなさい・・・」
僕はまだ、彼女の事を想っているんだ。なんて、未練がましい男なんだろうか。
ペコリとその女性に頭を下げると、その場を去ろうとした。
が。
「あっ、あのっ・・・!!」
後ろから花純に似たその声に呼び止められた。