政略結婚が恋愛結婚に変わる時。
「…このマンション、絶対高いですよね。」

突然の言葉に少し疑問を感じながらも。

ほおずえをつきながら答える。

「…別に。俺の収入を考えたら普通じゃないの。」

うるさい。

余計な事を話すな。

勘ぐるな。

それだけでイライラする。

瑞紀を見ると瑞紀は、下を向きながら。

「…本の量とか、このマンションとか、住んでる階が上から二階目って事とか…最初から思ってましたけど、知哉さんって何されてるんですか?」

そんな事も知らないのか。

その声は、どこか不安気で。

っていうか、その事を知って何になる?

何で教えなきゃならない?

でも、夫婦なのに旦那の仕事を知らないのも。

「…証券会社。」

「え…」

「証券会社に勤めてて、毎日株を動かしてるんだよ。」
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