政略結婚が恋愛結婚に変わる時。
「会社は休まない。」

父親を睨みながらそう言うと、父親は眉を寄せながら、
「…何を言っている?」

「結婚は良いよ、どうでも。仕事の邪魔さえしなければ。ほっとけば良い。」

「…」

「そういう事をする予定の女もいないし、作る気も無いね。世間体を考えたら、そろそろしといた方が良いかもね。」

「…お前、「だけど。」

身を乗り出した父親を一瞥して。

「仕事は、休まない。絶対に。」

「結納は一時からだぞ。」

「すぐに終わらせて、遅刻して行くよ。30分ぐらいで終わらせれば良い。」

文句は、言わせない。

立ち上がりながら、一言。

「あっちの親がどう思おうが、関係無い。上手くやって行こうなんて思ってないから。」

そう言い残して、久々に訪れた実家を出て駐車場に置いてあった車に乗り込む。

それからエンジンをかけて、今告げられた出来事を払いのけるかのように車を急発進させた。
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