政略結婚が恋愛結婚に変わる時。
目の前には、華奢な体つきをした女。

その隣には母親らしき、年をとった女。

俺の隣には、俺と同じくスーツを着た父親。

俺たち四人は2対2で、趣がある料亭の一室で向かい合っていた。

相手の母親が
「…本当に、良かったわ。こんな良い話、なかなか無いものね。」

ちらと時計を確認する。

そんな話、どうでも良い。

早く終わらせろ。

会社に行きたい。

仕事がしたい。

その表情が少し顔に出ていたのだろう、隣の父親が肘打ちしてきた。

…うるさい。

そう思いつつ、ため息をついて前を見る。

目の前にいる女の姿が嫌でも目に入る。

白い肌に、小さな顔。

大きめの瞳に、小さめなのにぽってりとした紅い唇。

頬は、控えめにピンクに染まっている。

…俺の方は一切見ようとしない。

ま、どうでも良いけど。

そんな事を考えていると世間話は終わっていたようで、何時の間にか立っていた父親が俺を睨みながら
「失礼の無いように。」

は?

何で俺が高校生ごときに気を使わなきゃならない。








< 3 / 16 >

この作品をシェア

pagetop