漆黒の闇に、偽りの華を
「君みたいな女の子がこんな時間に、こんな所を一人で歩くなんて無謀ですよ?
ここがどこだか知らないわけじゃないでしょ?
それにほら。足、怪我してる。」
彼は、顎で私に膝を見るよう促してくる。
「こんなの……掠り傷じゃない。」
「女の子の足に傷なんか残すもんじゃないですよ。
近くに手当て出来る場所があるんです。」
手当て出来る場所…だと?
どっか連れ込む気かこいつ。
こんな男達にどこかに連れ込まれるとか、さすがに身の危険を感じるんですけど…。
あたしの思っている事を悟ったのか、
「せっかく助けた人に、何かしたりしませんよ
。安心して下さい。」
そう言って、彼はふっと笑ってみせた。
いけ好かないなこの男。
ヘラヘラしてるくせに、何でもお見通しって感じ?