漆黒の闇に、偽りの華を
「お。やってますねぇ。」
小さな公園の前に着くと、恭はバイクを止めてヘルメットを外す。
「何?」
「ほら。」
そう言って、恭が指差した先には
「あ。花火……?」
男5人くらいの集団だろうか。
手持ち花火を大量につけて振り回したり、打ち上げ花火を打ち上げたりしながらキャッキャと騒いでいる。
「夏ですねぇ。あいつら、うちの奴らですよ。」
「そうなの?」
少しすると、5人がこちらに気付いたのか、花火の手を止めて何やら話し込んでいる。
そして、一人がこちらに駆け寄ってくる。
他の4人はその背後で揃って頭を下げている。
「あ!やっぱり恭さんでしたか!!お疲れ様です!!」
「お疲れ明(あきら)。花火ですか?楽しそうですね。」
「あぁ!これ、ダチが大量に貰ってきまして!!あ!恭さんも良かったらコレ!!」
明というモヒカンくんは、手に持っていた線香花火の束を恭に渡す。
「いーの?」
「はい!むしろ、大したもんじゃなくてすんません!良かったら……彼女さんと!」
明は、こっちをチラリとみてペコっと軽く頭を下げる。
へ?
彼女って……あたし?