漆黒の闇に、偽りの華を
「太一は、口悪くてあんなんだけどさ、あたしにとっては今も昔もヒーローだよ。」
百合さんが太一をこんな風に思ってるなんて、正直驚いた。
いつも太一が尻に敷かれていると思ってたのに、百合さんはこんなに可愛い顔をするほど太一の事が好きなんだ。
「何よっ。ニヤニヤして。」
「ううん。百合さん可愛いなって。話聞けて良かった。」
「何それ。」
百合さんは、ちょっとほほを赤らめて照れた顔をする。
本当に百合さんと話せて良かった。
恋って、誰かの人生をも変えるんだって分かった。
でも、きっと、良い方向に変わる事ばかりではない。
もしもあたしが恋をしたら……?
良い方向になんて、行くわけがないんだ。