漆黒の闇に、偽りの華を

こっちにナイフを振り上げて迫ってくる。


あぁ。


これは流石にやばいな……。



「太一。」


「了解。」



男があたしに振りかぶる。




―――――――――――――――え?


痛くない。


あたし、どうなったの?




「てめぇの相手はこっちだろ。余所見してんなよ。」




「ぐ……ふっ」



恭?


恭があたしの前に盾となって男のナイフを持つ手を止めている。


そして、恭の膝が男の溝おちに食い込んでる。


男はナイフを落とし、よろめきながら後退る。


あ!!


「き、恭!!手っ!血が!!」


あたしの声を無視して、恭は男に詰め寄る。

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