漆黒の闇に、偽りの華を
あたしは、この前の不良グループとの一件で、恭への気持ちに気付いてしまった。
恭が好きなんだと、確信してしまった。
それはあたしの"計画"にどういう影響を及ぼすのか、正直不安で仕方ない。
でも、だからといって、恭への気持ちに気付かない振りをするなんて、もう出来ない。
「何か飲みます?喉乾いたでしょ?寝汗かいてる。」
恭は、あたしの額から頬に手を滑らせる。
そして、冷蔵庫に向かう。
恭に触れられた所が熱を帯びる。
「……恭って誰にでもそういう事すんの?」
「ん?何?聞こえなかった。もう一回言って?」
「……何でもない。」
恭と付き合いたいとか、そういう事じゃない。
思いを伝えたいとか、そういうわけでもない。
ただ、こうやって恭の側に居る事。
恭に触れられる事。
あたしは、確かにそれを望んでる。
でも、あたしにその資格はない。
分かってる。
望むことすら、許されるものじゃない。