漆黒の闇に、偽りの華を


あたしは、この前の不良グループとの一件で、恭への気持ちに気付いてしまった。


恭が好きなんだと、確信してしまった。


それはあたしの"計画"にどういう影響を及ぼすのか、正直不安で仕方ない。


でも、だからといって、恭への気持ちに気付かない振りをするなんて、もう出来ない。


「何か飲みます?喉乾いたでしょ?寝汗かいてる。」


恭は、あたしの額から頬に手を滑らせる。


そして、冷蔵庫に向かう。


恭に触れられた所が熱を帯びる。


「……恭って誰にでもそういう事すんの?」


「ん?何?聞こえなかった。もう一回言って?」


「……何でもない。」




恭と付き合いたいとか、そういう事じゃない。


思いを伝えたいとか、そういうわけでもない。



ただ、こうやって恭の側に居る事。


恭に触れられる事。


あたしは、確かにそれを望んでる。



でも、あたしにその資格はない。


分かってる。


望むことすら、許されるものじゃない。

< 157 / 200 >

この作品をシェア

pagetop