漆黒の闇に、偽りの華を
………………
……はい?
今…何て言った?
誰が総長だって?
あたしはキョロキョロ辺りを見回す。
さっきまで隣に居た太一は、入り口で誰かと立ち話しをしていて、気付けばこの恭って男と二人きり。
というか、この恭って男とあたし以外に近くに誰もいませんけど…。
え?
てことはつまり?
あたしは恐る恐る前を歩く彼を見る。
「ただいま、俊太。百合は?」
「幹部室でパソコン弄ってましたよ。」
「ありがと。整備も程々にね。」
「うっす。」
嘘。
うそ。
まさか、こんな優男が……?
彼はあたしの方をチラッと振り返り、目が合うと苦笑してみせた。
こんな優男が、私の求めていた人なの?