漆黒の闇に、偽りの華を


「聖ちゃん。この辺にしといてやって。」


百合さんが、あたしの頭をポンと軽く叩いて前に出る。


"聖ちゃん"


あれ?

どこかで聞いたことがあるような。


「百合~♪久しぶり~!元気してた??」


彼女は、百合さんに駆け寄って抱き締める。


「元気よ。聖ちゃんも元気そうね。てか、今日はわざわざここまで何しに来たの?まさか、恭とキスする為にわざわざ?」


「そうよ~♪この間の報酬貰ってなかったからね!あ、大丈夫!口にはしてないから!口の横!ね?きょ……」



「聖也……てめぇ沈められてぇのか?」


恭の足が、彼女の顔面にのめり込む。


恭は、キスされた所を心底嫌そうに拭っている。


「き、恭!ちょっと女の人にそんな……ん?」


ちょっと待てよ?


今、恭"聖也"って言わなかった?


あれ?


聖也って確か……


「ちょっと!!痛いじゃないのっ!!聖也って呼ばないでって何度も言ってるのにっ!!!」



「あーーーーーっっ!!!!!」


あたしは思わず彼女を指さして叫ぶ。

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