漆黒の闇に、偽りの華を
それにしても、凄い怒ってたけど……。
「大丈夫かな。聖也さん……。」
恭に声を掛ける。
恭は少し驚いた顔であたしを見ると、すぐに微笑んで、
「大丈夫ですよ。」
と言う。
不意に違和感が沸き上がってくる。
いつもの恭に戻ったからだ。
聖也さんが言っていた。
総長モードの時の恭が、素だって。
ということは、こっちの恭は?
もしかしたら、作られたものなの?
そう思うと、何かちょっと寂しい気持ちになる。
「……茉弘。明日の昼、ちょっと二人でご飯でも行きませんか?」
開いた扉から、聖也さんのバイクのエンジン音が聞こえてくる。
その音が、どんどんと遠ざかって行く。