漆黒の闇に、偽りの華を
「何か挙動不審ですけど、どうかしました?」
「わぁっ!!!!」
いきなり後ろから声を掛けられて、心臓が口から飛び出そうになる。
「お待たせしました。暑くなかった?もっと日陰で待ってれば良かったのに。」
恭は、あたしの頭に手を置く。
「だ、大丈夫だからっ!今さっき来たとこだしっ!」
あたしは、慌てて恭の手を押し退けようとする。
だけど、恭はそんな事は気にも止めず、
「うわっ。ほら、あっつい!熱中症になっちゃいますよ!早く店に入りましょう!」
と言って、あたしの手を掴み、引っ張って歩き出す。
ああぁぁ……完全に恭のペースだ。
あれ?
今日の恭、何かいつもと違くない?
いつも、それこそTシャツやパーカーなくせして、今日はシャツなんか羽織ってネックレスなんかして、チャラチャラしてないけど、真面目過ぎるわけでもなくて、上手いこと着こなしている。
おまけに、なぜか眼鏡もしていない。
何かいつもより随分……カッコイイ……。
って何照れてんだあたし!
絶対に今、気持ち悪い顔しちゃってた!