漆黒の闇に、偽りの華を
あぁ、あたしの幸せだった時間が今終わろうとしている。
でも、いいんだ。
恭にこんな顔をさせるくらいなら。
いつか傷付けるくらいなら。
終わりにしよう。
潤ごめんね。
潤の笑顔を取り戻す為なら、何だって出来ると思ってた。
でもね。
あたしにとっての大切な笑顔は、潤だけじゃなくなってしまったの。
恭の大切なものを守りたい。
恭の笑顔を守りたい。
恭の側には居られなくなってしまうけれど、君の笑顔のためならば……。
「分かった。」
「……え?」
恭は驚いて顔を上げる。
「分かったって言ったの!」
あたしは、何度も言わすなと言うように口を尖らせる。
「そんな顔しないでよ!あたしは大丈夫だから!!別に家がないわけじゃないし!」
「……でもっ……」
「それよりも、ありがとう。」
「え?」
「少しの間だったけど、あたしに居場所をくれて。
煌龍のみんなと一緒だった時間、すっごく楽しかった!!それと……」
あたしは、喉まで込み上げてきたものをグッと堪える。
恭に分からないように、それを押し込める。
そして、最大限の感謝を込めて、笑顔を……。
「恭に出逢えてよかった。」
「……っ!」