漆黒の闇に、偽りの華を
駄目だよ……。
これ以上近付いたら、あたしあなたから離れられなくなっちゃう……。
恭の手が、俯くあたしの頬に置かれる。
「茉弘。こっちむいて。」
駄目……駄目だよ。
あたしは、恭の側にいちゃ駄目なのに。
お願い。
そんな優しい声で、あたしの名前を呼ばないで……。
「茉弘。」
恭があたしの顎を上に持ち上げる。
「俺の姫になって。」
あぁ。
神様どうか今だけは……。
あたしの頬を涙が伝う。
「……うん……。」
この幸せが、悪夢の続きであったとしても、あたしは……
恭の唇が、あたしの唇に微かに触れて離れる。
あたしの額に恭の額を付けたまま、確かめるようにあたしを見詰める恭。
その視線を受け止めるあたし。
…………あたしは、恭と居たい。
あたしはもう一度落ちてくる恭の唇を、今度は目を閉じて確かに受け止めた。
~ 君の笑顔がみたいから! END ~
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