漆黒の闇に、偽りの華を
―――――ガササササッ!!
「うぎゃあぁーーーっ!!!!」
突然あたしの左前方から何か黒い影が飛び出してきて、腹の底から悲鳴を上げる。
辺りが静か過ぎるくらい静かなせいで、あたしの何とも色気のない悲鳴がキレイにエコーを掛けてこだまする。
黒い影の正体は、どうやら野良猫らしい。
近くで猫同士が喧嘩をする激しいやり取りが聞こえてくる。
「脅かすなっつの。他でやれ他で…。」
心臓がバクンバクン脈を打っている。
しまった。
完全に腰が抜けた。
さっきの衝撃で尻もちをついたまま、腰が持ち上がらない。