漆黒の闇に、偽りの華を

恭は、どこか寂しげに笑って頷いた。


「でも、いいな。家族と呼べる場所があるのは、ちょっと羨ましい。」


「さっき茉弘は一人ぼっちだって言ってましたよね?
どうしてか、聞いてもいいですか?」


恭はあたしの隣に腰掛ける。


「小さい時に両親事故で死んだの。それから遠い親戚の家に引き取られたんだけど、上手くいかなくて。16になってすぐに家を出て、一人暮らしを始めた。」


「上手くいかなかったって……じゃあ、ずっと一人で居たんですか?」


あたしは、首を横に振る。


「小さい時から、いつも一緒にいてくれる人がいた。
だから、寂しくなんてなかった。
でも……」


恭が首を傾げてこちらを見てる。


あたしは、両足を抱えてる腕に力を込める。


「でも、その人も今は側にはいないから……今は、本当に一人ぼっち。」


だからここへ来たの。


君と、君の笑顔を取り戻す為に。

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