漆黒の闇に、偽りの華を
――――ガサササッ!
「あーまたかい。次は騙されませんよー。」
そう言葉を発してからはっと息を飲む。
違う。
猫なんかじゃない。
何かこう、もっと大きなものが近づいてくるような、ザッザッと砂利を擦るような足音が聞こえる。
人…間……?
「なーにを騙されないって?」
あたしの目の前に、突然男の顔が飛び出してきて、
「ひっ!」
悲鳴を上げそうになると、その男の手があたしの口を乱暴に塞ぐ。
「悲鳴なんて上げんなよ。ただでさえ、さっきの悲鳴でこっちは警戒されてんだ。黙ってろ」
ヤバイ。
あたし、絶対にただじゃ済まない。
だってこの人……ナイフ持ってる。
それに、"あの人達"と同じ目してる。
「……っ…!」
誰か………っ!!
「こらこら。乱暴は駄目ですよ。」
いきなり辺りが、眩しいくらい明るくなる。
咄嗟に手で光を遮って、必死に目を開けようとしていると、あたしにナイフを突き付けていた男が、勢いよく蹴り飛ばされ吹っ飛ぶのを見た。