漆黒の闇に、偽りの華を

何!?何が起きてるの!?


あたしはガクガクと震える体を必死に起こし、辺りを確認する。


でも、眩し過ぎて目を開けることすらままならない。


これは……ヘッドライト?


「うわっ!恭(きょう)の言った通り!女だ!!」


ナイフの男を蹴り飛ばしたと思われる男が、身を屈めてあたしの顔を覗き込んでくる。


すると、ヘッドライトの明かりが落とされ、男の顔が浮かび上がった。


ツンツン立てた金髪の髪。

ゴツゴツした沢山のピアス。

おまけに眉毛が…薄っ!


一言でいうと、物凄くガラが悪い。


「怯えてるでしょ、太一。ちょっと離れてあげて。」


「あ!?何で怯えんだよ!助けてやったのに!」


そう凄みをきかせて言われると、思わず体がビクッと跳ね上がる。


「いーから離れて、太一。」


太一と呼ばれる男はもう一度言われると、何も言わずにあたしから離れていった。
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