漆黒の闇に、偽りの華を
太一が、あたしの制服を指差しながら顔を歪める。
あ。そっか。
この間は私服だったもんね。
「意外に、頭良いとこ行ってんだな。」
「"意外"は余計。」
あたしの通ってる高校は、県で3位くらいの進学校"颯風高校"だ。
「そういうあんたは……やっぱりって感じね。」
「あぁ?」
太一の制服は、県内でも有名な不良ばっかりいる"巣鴎高校"のものだ。
あそこには、有名な暴走族や不良グループに入っている奴等が沢山通ってるって聞いたことがある。
でも、巣鴎の生徒をこんな間近で見るのは初めてだ。
普段は、何されるか分からないから近付けないもん。
太一は、鼻に詰め物をしながら、倉庫に掛けられているいくつもの南京錠を解いていく。
「つーか、有名な進学校の生徒さんがこんな時間にこんな所で何してんだよ?学校さぼっていーわけ?」
良いわけないでしょ。
後で登校中に具合が悪くなったったとでも連絡入れないと……。