漆黒の闇に、偽りの華を

「…………おかえり。」


ふわふわな物の正体は、毛布だった。


少し厚手の起毛のやつを恭が掛けてくれたらしい。


「……ただいま。」


恭が、少しあたしから視線を逸らす。


頬が少し赤くなっている気がする。


「勝手にベッド借りてごめん。何か眠くて眠くて……。」


「昨夜は、殆ど寝てないですもんね。
自由に使っていいんですよ。元々俺も仮眠で使うために置いたんですから。」


恭は、いつもの笑顔であたしに微笑む。


「でも、鍵は掛けて下さい。
ここは男の巣窟なんですからね。あんな無防備に寝ていたら、何かされてもおかしくないんですよ?
残念ですが、俺は男共の本能の管理までは手が回りません。」


「ん。気を付ける。」


恭は、あたしの頭をクシャッと撫でて、机にカバンを置く。



ん?何だか違和感。


なんだろ??


あ。制服姿初めて見たからかな?


学ランじゃなくてブレザーか。


割と似合ってる。


というか、秀才君て感じだ。


あれ?


制服?


んんん???
< 65 / 200 >

この作品をシェア

pagetop