漆黒の闇に、偽りの華を
ミーティング
もうどれくらいこうしているんだろう?
戻らなくちゃいけないのに、体が全く動かない。
ミーティング……始まっちゃってるかな。
恭が参加して欲しいって言ってたのに、いきなりすっぽかすなんて……。
みんな……怒ってるかな?
ブレザーのポケットに入れていたスマホが突然振動する。
画面を確認すると、"栗原 恭"の表示。
始めて見るその表示に戸惑う。
そっか。
連絡先交換したんだっけ……。
「……はい。」
『茉弘!?今どこに居るんですか!?』
「あ……ごめん。ミーティング……始まっちゃったよね?」
『そんな事どうでもいいんです!もうこんなに暗いのに一人で出歩いて!今どこなんですか!?』
「……トンネルの前……落書きいっぱいの……。」
『分かりました。すぐ着くからそこに居て下さい。』
言い終わるか終わらないかのうちに電話が切れる。
どうしよう。
今は恭に会いたくない。
この場を離れなきゃ!
そう思って立ち上がると、後ろから手首を掴まれ引き戻される。
「ひっ!」
「そこに居てって言ったのにっ……どこにいくんですか!……はぁはぁ」
あたしの手首を掴んだのは、恭だった。
もう片方の腕で汗をぬぐい、肩で息をしている。