漆黒の闇に、偽りの華を
「でたよ!恭のいいトコ取り!!こいつ蹴ったの俺なのになー。」
さっきのナイフを持った男は、太一の足の下で完全に伸びきっていた。
太一が足で男を揺するが、全く意識を取り戻す気配がない。
「太一がガラ悪すぎだからいけないんでしょ。
春馬、直。こいつ縛ってあっちの島に返しておいてくれる?下に指示出しといて。」
恭と呼ばれる男がそう言うと、二人の男が前に出て来る。
「オッケー!あーぁ。完全に伸びてんね。直足縛ってね~。」
春馬と呼ばれる、短髪赤髪で背が小さ目の男が、ナイフ男の頭を人指し指でつつきながらそう言う。
「男縛っても何も得にならない……。気色悪い……。」
ブツブツいいながら、直と呼ばれるロン毛でイケメン……というか、チャラい感じの男がナイフ男の足元に屈む。
恭と呼ばれる男は、またあたしに向き直ると、
「ちょっと掴まっててくださいね。」
と言ってあたしの肩に手を回した。
すると、体がふわりと宙に浮く。