漆黒の闇に、偽りの華を


近寄って行って手元を覗き込む。


「何してんの?」


「ばっ!!!!お前!!!見んなよ!!!」


「はぁ?」


「こら。太一?」


すかさず、恭の一声で太一はピッ!と背筋を伸ばし、青い顔をしながらまた書き物を始める。


何?


太一どうしちゃったの?


よく見ると太一の頬には赤い手形。



「茉弘ちゃん。太一ね、あの後百合にひっぱたかれたの。もっと言い方考えろって。しかもね、茉弘ちゃん帰って来ないから、起きてきた恭にあったこと話したらね……ぷぷぷ。見て。」


春馬は、笑いながら太一から紙を引ったくりあたしに見せる。


「ごらぁ!春馬ぁっ!!てめぇっ!!」


真っ赤になって、春馬に襲いかかる太一。



「………………ぷっ。」



春馬と太一が同時にこっちを見る。


「ぷっ……ふふふふっ。何これっ。あはははっ。」



「わぁー……茉弘ちゃんが……さりげなく爆笑してる……。」


恭以外はみんな驚いた顔でこっちを見てる。


恭は、にやっとしてあたしを見る。



だってコレ。

何書いてあるかと思ったらさ。

ダメ。

笑いが堪えられない。


春馬に見せられた紙に書かれていたのは、ある文章の繰り返し。


『もう余計な事は言いません。反省しています。もう余計な事は言いません。反省しています。もう余計な事は言いません。反省しています。……(以下省略)』

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