漆黒の闇に、偽りの華を


「信頼されてるんだね。」


「え?」


「あの二人の顔見れば分かるよ。恭、ちゃんと信頼された総長さんなんだね。」


「……信頼か……そうだったら、嬉しいですね。」


恭は、ちょっと照れながら笑う。


本当に嬉しそう。




恭の人柄が、人を惹き付けるのは良く分かる。


他の人とは違った、独特の雰囲気を放ってるから。


派手にしてる訳じゃないのに目が奪われるのも、側に居るとつい心地が良くなるのも、きっとその独特の雰囲気のせい。


でも、あたしは知ってる。


それだけで、伝説の暴走族の総長が勤まるわけがないことを。


恭にはまだ何かある。


あたしの知らない恭が、まだきっといる。

< 87 / 200 >

この作品をシェア

pagetop