漆黒の闇に、偽りの華を
「信頼されてるんだね。」
「え?」
「あの二人の顔見れば分かるよ。恭、ちゃんと信頼された総長さんなんだね。」
「……信頼か……そうだったら、嬉しいですね。」
恭は、ちょっと照れながら笑う。
本当に嬉しそう。
恭の人柄が、人を惹き付けるのは良く分かる。
他の人とは違った、独特の雰囲気を放ってるから。
派手にしてる訳じゃないのに目が奪われるのも、側に居るとつい心地が良くなるのも、きっとその独特の雰囲気のせい。
でも、あたしは知ってる。
それだけで、伝説の暴走族の総長が勤まるわけがないことを。
恭にはまだ何かある。
あたしの知らない恭が、まだきっといる。