漆黒の闇に、偽りの華を
「おっと。もうこんな時間だ。そろそろミーティング始めないとですね。」
恭が、腕時計を確認しながらみんなを促す。
「幹部全員、幹部室に。」
「え?ミーティングルームじゃダメなの?」
「うん。ここは、煌龍全体の共有事項に関することになら使えるんだけどね。幹部機密は、ちょっと駄々漏れ過ぎるんです。」
なるほど。
確かに。
ミーティングルームのすぐ側では、幹部外の子達が好きずきに過ごしていた。
バイクを弄る人。
たむろって話をしている人。
仮眠をとっている人。
誰が聞き耳立てていてもおかしくはない。
「ちなみに、2階の幹部室は防音でね、夜中に一人コンサートしても誰一人気付かないよ。」
「…………恭、そんな事してんの?」
「んや?してません。」
「「…………。」」
恭の思わぬ冗談(?)で、二人の間に変な間が出来て、可笑しくなって同時に吹き出す。
「今あたし想像しちゃった!」
「俺もです!」
私が腹を抱えながら笑っていると、急に恭があたしの頬に掛かる髪を払うようにあたしに触れる。
驚いて恭を見上げると、優しい顔であたしを見てる。
「笑ってる方がいい。」
…………なっ!?
「あ。みんな上に先行っちゃった。行こ。」
先に階段を駆け上がって行く恭。
ちょっと何よ。
…………どうしてくれんのよ。この心臓。