漆黒の闇に、偽りの華を
「というわけで、漸くミーティングを始めたいと思います。
あ。太一は、それ続けて。」
太一が、幹部室のゴミ箱にそっとノートとペンを放り込もうとしていると、すかさずそれを制しながら、恭が話始める。
太一は最早涙目だ。
「今日ミーティングを開いたのは、
"一つは現状を再度みんなに確認して貰いたいから"
もう一つは、"茉弘に俺達の置かれている現状を知っておいて貰いたいから"です。」
みんな一斉に頷く。
ノートに向かっているはずの太一も、恭を真剣な面持ちで見詰める。
「単刀直入に言うと、今、煌龍は内側から小さな亀裂が生じている。」
「亀裂?」
あたしは思わず首を傾げる。
でも、幹部のみんなも百合さんも、恭の話をじっと聞いている。
多分みんなは、知っているんだろう。
「そう。亀裂です。
茉弘、昨晩ナイフを持った男に襲われましたよね?」
「う、うん。」
「あの男は、反乱因子の一人です。」
「反乱因子……それって……」
「いわゆる、裏切り者です。」
「じゃあ、あの人も元は煌龍の仲間だったってこと?」
「そうです。
茉弘は、煌龍が元は名のある暴走族、不良グループが集まって出来ているって知っていますか?」