漆黒の闇に、偽りの華を


「あ。取り敢えず、現状はこんな感じです。
昨夜のように、鷹牙に掻き立てられた反乱因子がまだ煌龍内にいない保証はない。
見付け次第芽は摘んでいくつもりですが、警戒を怠らないで下さい。

特に、百合と茉弘。
二人は絶対に一人でこの地区をフラフラしないように。」


「了解ー。」


「……分かった。」



「あと、春馬、直。
警戒するのは葛原だけじゃない事、覚えておいて。」


「どういうこと?」


春馬と直は首を傾げる。


「太一には話したんだけど、葛原 将生だけなら鷹牙はここまで強大にはなっていないんです。」


「?」


「鷹牙副総長、葛原 潤」



―――――――――――ドクン



「葛原の血の繋がってない弟です。
俺は、実はこの人が一番厄介なんじゃないかと踏んでいます。
葛原と違って、頭が良くて、常に冷静沈着。下からの信頼も厚い。」


「なるほどね。嫌な感じだね。」


春馬は、何かを考えるように腕を組む。



「あと、もう一つ。これは頭の片隅に入れておいて欲しいんですが……」


「まだあるの?恭は心配性だからなぁ~。」



「鷹牙の後ろには"三豪会"がいます。」



幹部室内が、一瞬凍りついたかと思った。


"三豪会"


みんな知ってるんだね。



「それ……まじで言ってんの?」


恭は神妙な顔で頷く。


「大まじです。
葛原将生の父親は、三豪会の会長、葛原 清四郎です。」


「三豪会って言ったら、本マジのヤクザじゃんか。」


直は、真っ青な顔で口元を押さえている。

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