【短編】キラキラ *幼なじみ*
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ん…?
ここ…どこ?
ぼーっと眠気まなこの目を開ける。
き、教室…?
そっか…あたし、あのまま寝ちゃったんだ。
ぼんやりと理解する。
なにげなく手元を見ると、ブレザーがかけてある。
え…?
でもあたしもう着てるし。
誰の…?
何気なくまだ覚めない目で教室を見渡すと
机に肘をつきながら
いつのまに雨が止んだのか
窓から輝く大きな月を眺めている男子生徒がいた。
誰…?
薄暗くて分からない。
ブレザーは着てなく、
ワイシャツだけ。
このブレザーをかけてくれたのって…この人…?
やわらかそうな栗色の髪…
王子様…とか?
「起きたのか…?」
物音に気づいてその人は振り向く。
あたしは驚きのあまりバッチリ目を覚ます。
「ひっ、ひっ裕也ー!!」
つい大声が出てしまう。
「なっ、なんで裕也がいるの…?」
信じられないようにあたしは聞いた。
「お前おいて帰れないだろ。
起こしたけど気持ち良さそうに寝てるし」
淡々と答える裕也。
口をパクパクしながらあたしは未だに何も言えない。
ていうか、寝顔見られた!!
「ま。でも、そろそろ背負ってでも帰らないとなって思ってたから、ちょうど良かった」
んーと裕也は疲れたように伸びをする。