夢喰い

後ろは振り返らない。
すがるような男の声にももう関心はない。

ただ、彼がくれた夢の味だけをゆっくりと思い出す。


さようなら。

次の男を探さなきゃ。


貘はみんな誰かと夜を過ごしているって訳じゃない。
誰かと居たって、そいつがいつも夢を見るとは限らない訳だし。

貘は夜の間だけ姿を変え、部屋に自由に忍び込めるようになる。

そして夢を喰らうの。
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