夢喰い

友行のようなタイプは部屋の中に上げるまでが難しい。

度胸がなくて、すぐに尻込みする小動物系。

友行は雰囲気もどこか小動物っぽい。


入口まで来て帰ろうとする友行の手を、私はキュッと握る。


「帰らないで?一人の夜は嫌いなの」


すると握った友行の手に力が入る。
そして私をゆっくりと抱きしめた。

遠慮がちな友行の腕の中で、私は少しモヤモヤとした。

言い慣れた誘い文句の一つのはずなのに、自分でも驚くほど声が震えたから。
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