夢喰い

恋人


朝目が覚めると、私は友行の腕の中にしっかりと収められていた。


「あ、起きた?」


頭を上げると、また友行と目が合った。

眠る前に見たのと同じ、優しく慈しむ目。


「友行くん、起きてたの?」

「うん、嫌な夢見ちゃって」


ツキンと胸が痛んだ気がしたけど、気づかなかったことにした。


「大丈夫?」

「うん。目が覚めたら深紅ちゃんが居たから」


友行の台詞はただ調子良く言ってるだけじゃないって分かる。

素直に本心で喋ってる。
< 31 / 90 >

この作品をシェア

pagetop