夢喰い
「大丈夫、奈々。友行を簡単に捨てたりしないよ」
そう言って私は奈々をなだめた。
だけど実際は、そんなの無理だ。
ずっと一緒に居るということは、苦しめ続けるということだから。
貘が夢を食べるためじゃなく人間と一緒に居るには、夜中に抜け出して他人の夢を喰らうしかない。
自分の愛した人が実は貘で、しかも他人の夢を喰らうだなんて。
誰が受け入れられるだろう。
貘は弱い生き物だ。
この時代、この世界では特に。