夢喰い

「送ってやるよ」

「ありがとう」


男はテーブルの上に置いてあった車のキーを取る。

私はゆるくパーマをかけた髪をセットし、化粧を済ませて男と部屋を出た。


大学まではそんなに遠くない。私は助手席で薄く香水を付ける。

甘いフルーツ系の香りが男の鼻孔をくすぐるだろう。

私がおっとりとした笑顔を作ると、男はだらしない笑顔を向けた。
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