夢喰い

「体調は大丈夫?」


友行の問い掛けに私はやんわりと微笑んで頷いた。

正直少し辛かったけれど、友行を包む空気が優しくて穏やかに居られた。


すると店の入口に男女の客の姿。
男の方が私の方に視線を向けると、私のソレにぶつかった。


「深紅じゃねえか」


男には見覚えがあった。
私がかつて夢を食い、ギリギリまで追い詰めてしまった男の一人だ。
< 60 / 90 >

この作品をシェア

pagetop