夢喰い
友行は私の身体を引き寄せ抱きしめた。
あの頃と変わらない優しいやり方で。
「馬鹿だよ深紅は。突然居なくなって」
「だってぇ……」
友行は一つ息を吐くと、抱きしめる腕に力を込めた。
「分かってる。俺を苦しめないためだって。確かに悪夢も深紅が弱ってくのも苦しかった。けど……」
友行の言葉を聞きながら、私は嗚咽を堪えるのに必死だった。
「けどね、深紅。俺はそれでも深紅が好き。深紅と居たい」
私はなんだか馬鹿みたいに声をあげて泣いた。
周りは好奇な目で見るけれど、私達は汗ばむ肌を重ねて抱き合った。