夢喰い

「……本当にいいの?」


やっとのことで絞り出した言葉。友行には通じただろうか。


「忘れたの?俺は深紅が居てくれれば幸せなんだよ」


どうしてこの人は変わらないんだろう。こんな私をこんなに愛してくれる。


「行こう」


初めて会った時と同じぽよぽよした雰囲気の笑顔に、少しだけ男らしさが加わっていた。

私は一つ頷き、友行に手を引かれて彼のマンションに向かった。
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