季節外れの花
「太陽っっ!」

気づいたら太陽の背中を追っていた。

もう小さくなって消えかけていた背中を。

何故かは、分かんない。

だけど、今。

今じゃないと、ダメな気がした。

『行かなくちゃ』

そう、思ったから。

だから、私は足を必死に動かす。

何かに引っ張られて行くように

私は、ただがむしゃらに。

「太陽っ!」

さっきより、近づいた背中。

私の声に気づいたのか太陽の足が止まる。

そして、驚いたように振り返る。

「どーした?」

分かんない。でも、でも‥‥‥。

言葉は頭の中で鳴るだけで、

声にはならない。

ハァハァと息も切れててなかなか

言葉が出てこない。

困ったように首をポリポリかいてる。

「‥‥まぁ、いいや。どっかよるか?」

コクコクと頷くだけで、やっぱり

声は出なかった。
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