季節外れの花
何故か、一人で泣きたい気分になった。

苦しい。熱い。胸が、痛い。

結衣加ちゃんが、さっき言った言葉は

私の気のせい?

それなら、結衣加ちゃんはあの後何を

言おうとしてたの?

結衣加ちゃんが飲み込んだ言葉は、

私が聞いても良いこと?

もし、決心が揺れてしまうような

ものだったら、聞かなくて良かったよね?

でも、何か引っ掛かっている。

胸の奥の方。

何かが刺さったままなのか。

「痛いな‥。」

帰ろ。

そう、一人で呟く。

夜の空と冷たいコンクリートとの間。

私は、歩き出す。

ホントに、私は応援するって決めた。

応援するんだ。

二人が幸せになるように。

きっと、お似合いの美男美女。

学校で一番のカップルになるかも。

京介の横で楽そうに笑う、奈緒。

奈緒の横で楽そうに笑う、京介。

二人の手は強く握ってあって。

もう、だれも入り込めない。

二人だけの、特別な時間があって。

チクッ

今は、辛いかもしれない。

でも、いつか京介にたいする

気持ちも忘れて。

本当に心の底から二人を歓迎できるように

なって。

いつか、二人の仲をからかったり、

お似合いだねって、目をみながら言える

ようになって。

でも、そのいつかっていつ?

今なりたい。

そのいつかが今なればいいのに。

京介のことなんて、忘れて。

楽しい恋をしたい。

苦しい恋じゃなくて。楽しい恋を。
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