季節外れの花
きづいたら、もう家の近くまで来てた。

見慣れた景色。なんか、落ち着く。

『茜、夕陽キレイだね。』

バカか。今日は、どんより雲。夕陽なん

て、見えないよ。記憶のなかの、まだ8歳の

頃の大陽に笑う。でも、あの時も曇りだっ

たな。

やっぱり、太陽はバカだなー。

でも、真っ直ぐなんだよな。

「茜。」

急に、後ろから名前を呼ばれる。

「・・・太陽!?」

ふりかえると、そこにはなぜか泥だらけの

太陽。

「え?何でここにいるの?てか、泥だらけ

だしどうしたの?」

近づいて来る太陽は、何故か笑顔。

「茜、夕陽キレイだね。」

「え?」

やっぱり、笑顔の太陽。

成長して、大人っぽくなった太陽の顔と

あの時の8歳の太陽が重なる。

全然違うけど、変わってないね。

「なんか、思い出したから。」

あはは、私と同じ言葉、思い出してる。

この言葉は、心の中にしまった。

でも、不思議。

やっぱり、太陽は真っ直ぐ。

変わんないんだな。
< 3 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop