季節外れの花
ぴろりろりん~ぴろりろりん~♪

「うーん‥‥何??」

ぴろりろりん~ぴろりろりん~♪

朝っぱらから、電話掛けてくる奴は誰だ?

ベッドから手だけを出して、

携帯の場所を探す。

「ん?‥‥‥京介?」

携帯の画面に表示されたのは、

"京介"という文字。

ズキン

どーしよ。出ないのも不自然だよね。

「ふー。」

大きな溜め息をつく。

バクバクと鳴る心臓を無視する。

「もしもし」

携帯を持つ手が震えてる。

なるべく、平然を装おって。

「ごめん、朝から。」

キューって胸の奥が苦しくなる。

あぁ、まだ消えてない。

この声が好きだって叫んでる。

消えてよ。いっそのこと、全部忘れたい。

京介のこと。京介に対する気持ち。

出逢いも、無かったことにしたい。

全てを無かったことにしたい。

「うん。いいよ。で?何?」

なるべく、平然を装おって。
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