季節外れの花
「てかさ、お前さあ今日誕生日だろ?」

「・・・え?」

太陽は、真面目な顔。

覚えてたんだ・・・。

チクッ

「おめでとう」

京介が言ってくれなかった一言。

言って欲しかった。それが、それだけが

望みだった。

他には、何もいらなかった。

その一言だけで良かったのになぁ。

「あ、ありがとう」

笑いかけると、目を広げて太陽は驚いたよ

うな顔をした。その顔は、

何故か悲しそう。

「泣くなよ。そんなに、いやだった?」

え?私、泣いてないよ。

だって、太陽の前だし。泣かないよ。

ふと、伸びてきた。太陽の手が私の頬を

なぞる。大きい太陽の手。温かいな。

あ。私、泣いてる。太陽の大きな手が

私の涙をふきとる。

チクッ

何故か、心の奥底が痛んだ。

でもちょっとだけ、くすぐったい。

「どーした?」

「太陽・・・。」

太陽の目が真剣だって、分かった。

涙で景色が滲んでるけど、

何故か分かった。
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