季節外れの花
「…ぁかね。茜。」

…ん。誰かが、私を読んでいる気がした。

誰?

「…オイ、起きろバカ。」

なつかしい声がした。

あの、バカみたいに正直で。

まっすぐで。

目が綺麗な。

あいつの声が。

めを開けると、

暗くなった空が見えた。

それでも、私には眩しく見えた。

目を細める。

「ん…」

いつの間に、寝てたのかな。

記憶がないや。

「まじで、ふざけんな。風引いたらどーすんだよ。」

…ん。ごめん、ごめん。
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