季節外れの花
「太陽!」

足が長い太陽を追いかけるのは大変。

小走りで太陽の背中を追いかけるけど

どんどん距離は開いていく。

太陽は、私のことなかなか気づかない。

曲がり角が太陽の先にある。

あそこを曲がったら、赤い屋根の家が

ある。そこが太陽の家。

懐かしいな・・・。

よく、太陽の家で遊んだな。

ゲームをしたら、私の方が強くて

太陽は負けづ嫌いだったから、もう一回

って何回も言ってた。

でも、その度に負けてたな。

楽しかったな。あの頃。

今では、太陽とは話すことも少なくなって

なんか少しだけ悲しい。

でも、前みたいに笑い会いたいとは

思わないな。

私が笑い会いたいのは。京介。

やっぱり、京介に会いたいな。

私の好きな笑顔で、私の好きな声で、

私の名前を呼んで欲しいな。

そしたら、もっと好きになって

もっと辛くなるのかな。

「あ。」

太陽の姿が見えなくなった。

あれ?家に戻ったはずだよね。

でも、家の方向に太陽の姿がない。

キョロキョロと周りを見渡しても、

太陽の姿はない。

あ。少し向こう側に、

5~6人の男子の集団。

でも、太陽じゃないよね?

ガヤガヤと騒いでいるその集団は、

金髪やタバコを吸っている人もいる、

お酒の缶が周りに転がっている。

どうみたって、ヤンキー・・・。

怖っっ!!!

あんな、集団に太陽はいないよね。

怖そうな人に絡まれる前に、

どっか他のところ探そうと、私は

来た道と反対方向を歩き出した。

はぁ。どこ行ったのかなー。

どこを探しても見つからない。

もう、諦めよう。

気づけば、空は暗くなっていて。

あのヤンキーの集団もいなくなっている。

暗くなる前に帰宅する、

真面目なヤンキーとか?

それはそれで、面白い。

さっきまでヤンキーの集団がいた場所に

近づく。転がっていたビールの缶も

なくなっていた。

真面目なヤンキーだったんだ。

なんか、感動する。かも。

あー。太陽のバカ。

ポケットから、太陽がくれたキーホルダー

を取り出す。暗闇の中でキラキラと

輝いている。

キレイだな。これを選ぶとき太陽悩んだり

したのかな?そうだったら、なんか

嬉しいかも。

でも、そんな姿想像できないな。

でもさ、おめでとうって言ってくれた。

キーホルダーくれた。

それだけで、なんかいいや。

京介がしてくれないことをしてくれた。

ありがと、太陽。

ありがと。太陽のおかげでなんか

気が楽になったよ。ちょっとだけだけ。

ちょっとだけだよ。ありがと。
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